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相続不動産の最初の一歩は何から始める?親の自宅を相続するときの基本手順を解説

不動産売却

鵜飼 智司

筆者 鵜飼 智司

不動産キャリア32年

売買契約件数は、2000件以上で自分で言うのもなんですが、大ベテランです。過去の経験から大抵の問題には適切に対処できる自信があり、安心して取引していただけます。

親の自宅などを初めて相続することになり、最初の一歩として何から始めるべきか分からず、不安を抱えている方は少なくありません。
相続不動産は、相続人の確認や名義変更、税金、将来の活用方法まで、いくつものステップを順番に進める必要があります。
しかし、全体像を理解しながら落ち着いて手続きを進めれば、慌てる場面を減らすことは十分可能です。
この記事では、相続不動産の基本的な流れと注意したいポイントを整理し、最初の一歩として何から始めると良いかを分かりやすく解説します。
今まさに親の自宅を相続する状況にある方が、自分に合った判断を進めていけるよう、具体的な手順の考え方を一緒に見ていきましょう。

相続不動産の最初の一歩と全体像を理解

相続は、被相続人が死亡した瞬間から自動的に開始し、不動産を含む財産や債務は相続人が包括的に承継する仕組みになっています。
相続税法や民法の考え方では、通常は死亡日が相続開始日とされ、その翌日から各種の期限が進行します。
そのため、遺産分割の話し合いがまとまっていない段階でも、不動産の名義や管理責任は相続人に移っている点を意識することが大切です。
まずは、相続が始まった時点で何が相続財産に当たるのか、不動産がどこにありどのような権利関係なのかを落ち着いて確認することから始める必要があります。

不動産の相続手続き全体の流れとしては、はじめに戸籍等を集めて相続人を確定し、遺言書や法律に基づいて各人の取得内容を決める作業があります。
そのうえで、遺産分割協議書などに基づき、法務局への相続登記申請を行い、登記名義人を被相続人から相続人へ変更します。
名義変更が完了した後は、自分で住むのか、賃貸に出すのか、売却するのかなど、今後の活用方針を検討し、固定資産税の負担や維持管理の手間も踏まえて判断することが重要です。
この一連の流れをあらかじめ知っておくことで、手続きの抜け漏れを防ぎ、相続人間のトラブルも回避しやすくなります。

相続不動産では、特に期限に関わる点を早めに押さえておく必要があります。
民法の規定に基づく相続放棄や限定承認の申述は、相続の開始があったことを知った日から原則3か月以内に家庭裁判所へ行う必要があり、借金などが心配な場合には注意が必要です。
また、相続登記については、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請することが義務付けられ、令和6年4月1日より前に開始した相続についても、原則として令和9年3月31日までに登記を行う必要があります。
さらに、相続税の申告が必要となる場合には、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に申告と納税を行う必要があるため、不動産の評価や資金準備も含めて早めに全体のスケジュールを把握することが大切です。

段階 主な内容 意識したい期限
相続開始直後 相続人と財産の確認 相続放棄検討の3か月
遺産分割と登記 取得内容の決定と相続登記 取得を知ってから3年以内
その後の活用 居住・賃貸・売却の検討 相続税申告の10か月

親の自宅など相続不動産の把握と相続人確認

相続手続きの出発点は、「誰が相続人になるのか」を正確に把握することです。
被相続人の出生から死亡まで連続した戸籍謄本類を集めることで、配偶者や子どもなどの法定相続人を確認できます。
金融機関などでも、この一連の戸籍によって相続人を確認する運用が一般的です。
併せて、民法上の法定相続分の考え方を押さえておくと、その後の遺産分割協議を進めやすくなります。

次に、「どの不動産を相続するのか」を整理する作業に進みます。
固定資産税納税通知書を確認すると、土地や建物ごとの所在地や課税標準額などが一覧でき、相続対象となる不動産の全体像を把握しやすくなります。
さらに、法務局で登記事項証明書を取得すれば、所有名義や持分、抵当権などの権利関係も確認できます。
これらの情報を一覧にまとめておくと、後の相続登記や活用方針の検討がスムーズになります。

不動産の名義を誰に承継させるかを考えるうえでは、遺言書の有無と内容も重要です。
まずは自宅の金庫や机の引き出しなど、被相続人が重要書類を保管していそうな場所を丁寧に確認します。
自筆証書遺言が見つかった場合、法務局の保管制度を利用していないものは、家庭裁判所で検認手続を行う必要があります。
一方、公正証書遺言については、公証役場で原本が保管されており、遺言者の氏名や生年月日などを基に全国の公証役場で検索してもらうことができます。

確認事項 主な確認先 ポイント
相続人の範囲把握 戸籍謄本一式 出生から死亡まで連続取得
相続不動産の一覧 固定資産税納税通知書 所在地と課税標準額の整理
権利関係の詳細 登記事項証明書 所有者名義と持分の確認
遺言書の有無 自宅・貸金庫・公証役場 自筆は検認要否を確認

相続不動産の名義変更(相続登記)の進め方

相続登記は、亡くなった方名義の不動産を相続人名義へと変更する手続きです。
令和6年4月1日からは、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが法律上の義務となりました。
この期限を守らない場合、10万円以下の過料が科される可能性があるとされています。
また、登記名義を変更していないと、売却や担保設定ができず、相続人同士の話し合いも複雑になりやすいため、早めに着手することが重要です。

相続登記を行う際には、まず相続人全員で遺産分割の内容を決め、その結果に基づいて登記申請を行います。
遺産分割協議がまとまらないときは、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて解決を図る方法があります。
登記申請先は、不動産の所在を管轄する法務局であり、窓口での申請のほか、郵送やオンライン申請の仕組みも整備されています。
相続が発生してから時間がたつほど関係者が増え、協議や書類収集が難しくなるため、できるだけ早期に流れを確認しておくことが大切です。

相続登記に必要となる主な書類として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書などがあります。
これらの書類を基に、不動産ごとに登記申請書を作成し、登録免許税を納付した上で法務局に提出します。
登録免許税は、相続による所有権移転登記の場合、不動産の固定資産税評価額に税率0.4%を乗じて計算することが原則です。
相続税評価額は相続税の計算に用いる価格であり、国税庁が定める方法に基づいて算出される点で、名義変更時の登録免許税の基準となる固定資産税評価額とは役割が異なります。

項目 概要 注意点
相続登記義務化 取得を知ってから3年以内申請 怠ると10万円以下の過料対象
手続きの流れ 遺産分割合意後に法務局申請 合意不成立時は家庭裁判所利用
名義変更の税金 固定資産税評価額×0.4%課税 相続税評価額とは目的が別物

親の自宅を相続した後の選択肢と検討の順番

まず、相続した自宅に自分で住むのか、誰も住まない空き家として保有するのかを整理することが大切です。
誰も住まないまま放置すると、建物の老朽化や雑草の繁茂、ゴミの不法投棄などにより、近隣とのトラブルにつながるおそれがあります。
また、固定資産税は原則として毎年課税され、管理状態が悪化した空き家については、固定資産税の住宅用地に対する軽減措置が受けられなくなる場合があります。
こうした点を踏まえ、利用予定がない空き家を長期間そのままにしないことが重要です。

次に、親の自宅について「貸す」「売る」「相続土地国庫帰属制度を利用して手放す」といった主な選択肢を比較して検討します。
賃貸に出す場合は、安定した賃料収入が見込める一方で、修繕や入退去時の対応など継続的な管理が必要になります。
売却する場合は、まとまった資金を得て管理負担をなくすことができますが、相続税や譲渡所得税との関係を確認しておくことが欠かせません。
土地については、令和5年4月27日に開始した相続土地国庫帰属制度により、一定の要件を満たせば負担金を支払って国に引き渡すことも可能とされています。

どの選択肢を選ぶかは、家計の状況や今後の住まい方、相続人それぞれの生活設計を踏まえて検討することが大切です。
例えば、自宅として利用する予定がなく、管理や税負担が家計を圧迫する場合には、早期に売却や賃貸、国庫帰属制度の利用可能性などを比較検討するとよいでしょう。
税金について不明な点が多いと感じたときや、相続人間で方針がまとまらないとき、相続土地国庫帰属制度の要件に当てはまるか確認したいときなどは、専門家への相談を検討する段階といえます。
判断を先送りにせず、一定の期限を意識しながら、無理のない形で管理と活用の方針を固めることが重要です。

選択肢 主なメリット 主な注意点
自分で住む 生活基盤の安定 維持費と修繕費の負担
空き家で保有 将来利用の余地 管理不全と税負担増
貸す・売る 収入確保や資金化 税金と手続きの確認
国庫帰属制度 将来管理負担の解消 要件と負担金の確認

まとめ

相続不動産の最初の一歩は「全体像の把握」と「期限の確認」です。
まず相続人と不動産の内容、遺言書の有無を整理し、相続登記や相続放棄などの重要な手続きを漏れなく進めましょう。
親の自宅を「住む・貸す・売る・手放す」など、どの選択肢が家計や将来設計に合うかも冷静に検討する必要があります。
当社では、相続の整理から名義変更、その後の活用方法までまとめてご相談を承っています。
「何から始めればよいか分からない」という段階でも大丈夫ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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