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相続した不動産を売却する際の注意点は?手続きや税金の流れも解説

不動産売却

鵜飼 智司

筆者 鵜飼 智司

不動産キャリア28年

売買契約件数は、2000件以上で自分で言うのもなんですが、大ベテランです。過去の経験から大抵の問題には適切に対処できる自信があり、安心して取引していただけます。

不動産を相続した際、「売るべきか」「どんな手続きが必要か」など、次々と迷う場面に直面します。また、相続不動産の売却には、法的な手続きや税金の知識、事前準備など見落としやすいポイントが多く存在します。本記事では、相続不動産を売却する際に押さえておきたい注意点を分かりやすく解説します。初めての方でも安心して売却への一歩を踏み出せるよう、ご案内いたします。

相続不動産を売却する前に必ず確認すべき法的手続き

相続によって取得した不動産を売却する際、まず確認すべきは「相続登記」の手続きです。2024年(令和6年)4月1日から相続登記は義務化されており、相続を知った日から3年以内、あるいは遺産分割が成立した日から3年以内に申請しなければなりません。これを怠ると、正当な理由がない限り10万円以下の過料が科される可能性があります。義務化以前の相続に関しても、最長で2027年(令和9年)3月31日まで猶予期間がありますが、早めの対応が安心です。

次に、相続不動産が共有名義となっている場合、注意が必要です。不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要で、これは民法第251条によって定められています。他の共有者の同意が得られない場合には、自分の「共有持分」だけを売却する方法もあり、こちらは単独でも可能です。ただし、専門業者や第三者への売却の際には価格が低くなるリスクなどにも注意が必要です。

さらに、共有状態をどうするかを決めるうえで大切なのが「遺産分割協議」とその結果を記録した「遺産分割協議書」です。不動産の帰属を明確にしたうえで相続登記を行い、売却できる状態にしておくことが基本の流れです。

手続き項目 概要 ポイント
相続登記 相続人への名義変更 3年以内の申請が義務。罰則あり。
共有名義の売却 不動産全体の売却/自分の持分売却 全体は全員同意、持分は単独可能だが価格やトラブルに注意。
遺産分割協議書 相続財産の分配内容を記載 協議内容に基づく登記や売却準備に必須。

これらの法的手続きを確実に済ませておくことで、不動産売却のトラブルを避け、安心して次のステップに進む準備が整います。

税金・特例制度を正しく理解して節税につなげるポイント

相続した不動産を売却する際、譲渡所得税の負担を軽くするためには、まず「取得費加算の特例」の活用をご検討ください。この特例は、相続や遺贈により取得し、相続税を支払った方が、不動産を「相続開始日の翌日から3年10か月以内」に売却した場合、支払った相続税の一部を取得費に加算できる制度です。これにより譲渡所得が圧縮され、所得税と住民税の負担が軽減されます。特例の適用には、要件が厳格ですので、期限や相続税の支払いの有無などを必ずご確認ください。

つぎに、「空き家特例(被相続人居住用財産の3000万円控除)」も注目です。被相続人が住んでいた家屋や敷地を相続により取得し、相続後に相続開始から「3年を経過する年の12月31日まで」に売却する場合は、譲渡所得から最高3000万円まで控除できます。譲渡所得が大きく減る可能性があるため、活用できるかどうか、特に被相続人の居住用財産であるか否かを確認しましょう。

また、譲渡所得税の税率は所有期間の長さで異なります。被相続人からの所有期間と相続後の所有期間を合わせ、「5年超」であれば長期譲渡所得として税率は約20.315%(所得税15.315%、住民税5%)、「5年以下」であれば短期譲渡所得として約39.63%(所得税約30.63%、住民税9%)が適用される点にご注意ください。さらに、取得費が不明な場合は「売却価格の5%」で概算するルールが適用されますが、この場合、譲渡所得が過大となり税負担が増える傾向があるため、できるだけ実際の取得費がわかる資料をご用意いただくことをおすすめします。

以下に、特例ごとの要点を表にまとめました。ご自身がどの特例の対象になりそうか、整理しながらご確認ください。

特例名適用期限内容の概要
取得費加算の特例 相続開始日の翌日から3年10か月以内に売却 支払った相続税の一部を取得費に加算し、譲渡所得を減らす
空き家特例(居住用財産3000万円控除) 相続開始の年から3年を経過する年の12月31日までに売却 譲渡所得から最高3000万円を控除できる
取得費不明時の取得費算定 取得費が不明な場合、売却価格の5%で計算される(税負担が増える可能性あり)

売却スケジュールとコストを見通すための留意点

相続した不動産を売却するにあたり、まず「売却のタイミング」と「必要な費用項目」を整理しておくことが重要です。特に相続税の申告期限は相続開始から10か月以内と定められており、この期限を意識して売却活動を始めると安心です。

たとえば、相続税申告の期限が迫っている場合は、売却を急ぎすぎて適切な価格で売れず、結果として損をするおそれがあります。一方で申告後に売却計画を立てることで、税負担と売却成果のバランスを考慮しやすくなります。

次に、売却に際してかかるコストは多岐にわたります。主な費用項目を以下の表にまとめましたので、ご参考になさってください。

費用の種類内容目安
書類取得費用戸籍謄本・住民票除票・固定資産評価証明書などの発行手数料数百円~数千円程度
登記関連(登録免許税+司法書士報酬)相続登記や抵当権抹消登記など登録免許税:固定資産税評価額の0.4%、司法書士依頼時:5~15万円程度
印紙税等売買契約書に貼付する印紙代売買金額に応じて数千円~数万円

たとえば、相続登記の登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%」が課税されます。評価額が2,000万円なら8万円が目安です。また、司法書士に依頼すると5万円から15万円程度がかかります。書類取得の実費も数百円から数千円単位で発生します。

印紙税は契約書の金額によって異なり、たとえば売買代金が5,000万円以下の場合は軽減措置が適用され、印紙税は1万円程度になるケースがあります。

さらに、登記や税務申告など専門家に依頼する場合は、司法書士のほか税理士や弁護士への報酬も想定されます。税理士に相続税申告を依頼した場合、報酬は相続財産の総額の0.5~1%程度となることが多いです。

このように、売却スケジュールを立てる際には、相続税申告期限と売却開始のタイミングをしっかり見極めて、必要な準備とコストを予め把握しておくことが大切です。これにより、安心してスムーズに売却活動を進めることが可能になります。

スムーズな売却を実現するための事前チェック項目

相続した不動産を売却する前に、現状と準備をきちんと点検しておくことが大切です。まず、「建物の老朽化」「境界が曖昧」「外構や擁壁などの整備状況」といった現況を確認しましょう。老朽化した建物や外構(石垣・擁壁など)は、安全性に関わるだけでなく、売却価格にも大きく影響する可能性があります。また、境界が不明確な土地や、接道義務を満たしていない場合は、売却が滞ったり、買主から敬遠されることもあります。

次に、売却に向けた準備事項を整理しておきましょう。下表は、名義・書類・期限・税制などの準備項目です。

項目内容/注目点
名義・登記相続登記(名義変更)は義務。売却のためには必須で、3年以内の未申請には過料の可能性あり。
必要書類戸籍謄本、固定資産評価証明書、印鑑証明書、遺産分割協議書などは早めに準備し、整理・管理を徹底することが重要です。
税制・期限特例(取得費加算・空き家の3000万円控除など)の多くは「相続開始から3年以内」の売却が条件です。スケジュールに余裕を持つことが大切です。

これらを踏まえたうえで、安心して売却を進めるためには、「不備があれば早めに対策を考える姿勢」と「準備を着実に進める心構え」が不可欠です。例えば、建物や境界のトラブルが見つかった場合には、信頼のおける専門家や当社にご相談いただくことで、迅速かつ安全に売却プロセスを進めることができます。

まとめ

相続した不動産の売却には、法律や税金、手続きの確認といった多くのポイントがあります。まず、相続登記や遺産分割協議といった基本的な手続きをきちんと済ませることが、安心して売却を進める第一歩です。税金面では特例を上手に活用することで、余計な負担を減らすことも意識しましょう。さらに、書類やスケジュール、費用の準備を早めに整えておくことで、想定外の問題を未然に防ぐことができます。全体を整理して冷静に進めていくことで、ご自身やご家族が納得できる円滑な売却を実現しましょう。

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