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不動産売却時に確定測量は必要か?必要性や手順も解説

不動産売却

鵜飼 智司

筆者 鵜飼 智司

不動産キャリア32年

売買契約件数は、2000件以上で自分で言うのもなんですが、大ベテランです。過去の経験から大抵の問題には適切に対処できる自信があり、安心して取引していただけます。

不動産の売却を考え始めたとき、「確定測量」という言葉を耳にした経験はありませんか。不動産の売却では、土地の境界が明確でないと、思わぬトラブルや不安が生じることもあります。本記事では、確定測量とは何か、その必要性や費用、行わない場合のリスクなど、知っておきたい基礎知識を詳しく解説します。売却を安心して進めるためのポイントを、どなたにも分かりやすくご紹介します。

確定測量とは何かとその基本的意義

確定測量(境界確定測量)とは、土地を売却する際に、隣接地の所有者に立ち会っていただき、境界を明確に定める測量のことです。土地家屋調査士などの専門家が立会いのもとで測量を行い、確定測量図かくていそくりょうずを作成します。この図面は隣接地の所有者が署名・押印することで正式な境界を示す資料となりますので、実測図とは異なり、信頼性が高い図面です。実測図(現況測量図)は所有者の認識のもとに測量され、立会いなしに作成される簡易的な図面であるため、確定測量図とは目的も効力も異なります。

確定測量があることで、境界に関するトラブルを未然に防ぎ、売主・買主双方が安心して取引を進められます。特に境界が曖昧な土地や、過去の資料が不十分な場合には確定測量の実施が大きな安心材料となります。

項目確定測量図現況測量図(実測図)
立会い隣接地所有者による立ち合いあり立ち合いなし
効力正式な境界として信頼性あり簡易的な図面で正式な効力は弱い
用途売買契約時に使用。境界の明示に最適参考用。登記や契約では使いづらい

このように、確定測量は売却を考えている方にとって重要な基礎作業であり、安心できる取引のスタート地点となります。

いつ確定測量が必要となるか

不動産売却の際、確定測量が必要となる代表的な場面を、以下の表に整理しております。

場面概要理由
境界が不明瞭な土地境界標が消失、ブロック塀・フェンスのみなどで曖昧な土地隣地所有者とのトラブル防止や、売買価格の正確な算定のため
都市部・住宅地など境界トラブルが起こりやすい環境市街地や住宅エリアで土地が細分化されている場所金融機関の担保評価や売買手続きがスムーズに進むため
抵当権の設定・分筆登記・相続税の物納など手続き上の要件土地に抵当権を設定したい、分割・登記したい、税金で土地納付を検討している境界を明確にする確定測量が手続きの前提となるため

まず、境界標が消失していたり、境界がブロック塀や植栽物など曖昧になっている土地では、確定測量によって境界を明確にしておくことが必要です。登記簿の記録と実際の状況が異なることも多く、売却価格にも影響するためです。

次に、とくに都市部や住宅地のように土地が細分化され、境界トラブルが起きやすいエリアでは、確定測量が「売買を前に進めるための最低条件」として求められるケースが増えています。買主の住宅ローン審査でも確定測量の有無がチェックされる例があり、契約の成立や融資審査の通過に直接関わるため重要です(おださが不動産)。

さらに、手続き上の要件として、抵当権の設定、分筆登記、相続税の物納(不動産による税金支払い)などを行う際には、確定測量が前提とされることがあります。分筆登記や地積更正登記では境界を正確に確定する測量が必要であり、税務の物納においても境界が明確でないと申請できないことがあります(ホームズのよくわかる!不動産売却、チェスター、不動産鑑定評価 コラム)。

以上のように、確定測量は法的に義務付けられているわけではありませんが、現実の売却や融資、手続き上のスムーズな進行のためには、複数の重要な場面で求められる要素となっております。

確定測量の費用と期間の目安

不動産売却の際に重要となる「確定測量」ですが、一般的な費用と期間の目安を知っておくと、売却準備の計画が立てやすくなります。

まず、費用の相場について見てみましょう。土地の規模や立会いの有無によって異なりますが、概ね次の通りです。

立会いの有無対象面積の目安費用の目安(税込)
民民立会い(隣地所有者のみ)約100㎡/30~50万円約30万~50万円
官民立会い(道路や公有地を含む)約100㎡/60~90万円約60万~90万円

こうした相場は、複数の専門的情報をもとにしています。例えば「現況測量よりも確定測量は費用が高くなりがちで、民民の場合は約30万~50万円、官民では約60万~80万円ほどが相場です」との説明があります(民民・官民の区分や範囲は異なる場合もあります)また、別の資料では民民で35万~55万円、官民で60万~90万円程度と幅をとって示されているものもあります。

このように、土地の形状や境界の複雑さ、隣接者の数、公的機関との手続きの要否などによって、最終的な費用は変動します。

次に、確定測量に要する期間の目安ですが、一般的には以下のようにされています。

  • 依頼から資料提出・事前調査を経て登記申請完了まで、数週間~数ヶ月程度かかることが多いです
  • 具体的には、官民を含む場合は4ヶ月以上かかることもあり、民民のみの場合でも3ヶ月以上を想定することが望ましいです

例えば、ある測量法人によれば、民民確定測量の所要期間は「3か月以上」、官民確定測量では「4か月以上」とされています。また、ほかでは「依頼から登記申請完了まで、数週間~数か月程度」と幅をもって案内されています。

期間が長くなる主な理由としては、隣接地主との境界立会いや調整、行政の承認手続き、書類作成・登記申請までの一連の流れが挙げられます。これらは売却のスケジュールにも影響しますので、早めに準備を進めることが安心です。

まとめると、確定測量の費用は民民で30万~50万円程度、官民で60万~90万円程度、期間は民民で3ヶ月以上、官民で4ヶ月以上を見込むのが一般的です。ただし土地の状況によって増減しますので、売却計画の初期段階から余裕をもって対応すると安心です。

確定測量を行わないリスクと未実施でも進められるケース

確定測量を行わずに不動産売却を進める場合、さまざまなリスクが伴います。一方で、条件が整えば測量を省略して売却できるケースも存在します。以下に、具体的かつ誰にとってもわかりやすい形で整理してご説明いたします。

項目 内容 注意点
契約不適合責任等によるトラブル 契約後に越境や面積の違いが判明すると、契約解除や損害賠償請求の対象となることがあります。 測量が未実施の場合、責任を売主が追及されるリスクがあります。
売却価格の低下 境界や面積に不確実性があると、買主や金融機関はリスクを反映して価格を低く評価する傾向があります。 確定測量を省くことで、結果的に高値で売れない可能性があります。
住宅ローン・建築確認への影響 境界未確定では、住宅ローン審査や建築確認の審査が止まったり、融資額が下がったりすることがあります。 測量が完了していないと、手続きが進みにくくなるため、売却全体のスケジュールが乱れる恐れがあります。

実際、確定測量を行っていない土地では、後から隣地との境界争いが起こり、訴訟や損害賠償につながるケースも報告されています 。また、測量を省いたことで、結果的に売却価格が数十万円から百万円以上下がる事例もあるとされています 。住宅ローン審査や建築確認において支障が生じる可能性も指摘されています 。

一方で、以下のような条件下においては、確定測量を行わずに売却を進めることが可能な場合があります。

  • 近年分譲された土地で、分筆後に正確な測量図が法務局に登録されており、境界が明確な場合。
  • 土地の価値に比べて測量費用のほうが過大となる可能性があるような、低地価または広大な土地の場合。
  • 行政手続きに時間を要し、売却を急ぐ場合で、買主と合意のうえ手続きを進めるケース。

これらはいずれも、確定測量をあえて行わない選択肢として認められている状況です。しかしながら、例外的なケースであり、売却の安全性や契約の確実性を優先する場合は、確定測量を実施することが望ましいと言えます 。

さらに、未実施の測量図(現況測量など)を使って売買する際は、境界が曖昧なまま売却することの注意点として、以下のような点に留意が必要です。

  • 登記簿上の地積と現況が異なる場合、実際に使える面積が少なく、後でトラブルにつながりやすいこと。
  • 越境物の存在に気づかず、後日買主から撤去や損害賠償を求められる可能性。
  • 買主に不安を与え、取引が進まなかったり価格交渉で不利になること。

以上より、確定測量を行わない場合でも売却は可能ですが、リスクを正しく理解し、売却戦略に応じて慎重に判断されることをおすすめいたします。

まとめ

不動産売却において確定測量の必要性を正しく理解することは、スムーズで安全な取引を実現する鍵となります。確定測量は、境界を明確にし、売主・買主ともに安心できる状態を整えるために欠かせない手続きです。費用や期間がかかる反面、将来的なトラブルを防ぎ、信頼性の高い売却につながります。土地の状況や必要性を見極め、適切な準備を心がけることで、大切な資産を安心して取引することができます。

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